ほだ場に向かう山道を車で走っていると、木々の合間から時折海が見える。伊予灘の海岸線に沿って集落が点在しているこの地域で、椎茸を栽培しているのは県森林組合椎茸生産者連絡協議会の会長を務める大成さん。同じくらいの太さ、長さ、角度共に几帳面に組まれたほだ木が整列している様はまさに圧巻だ。「最初は12年か13年くらいの樹齢のものを使いよったんですが、全体的な椎茸の生産量が落ちたときに、どんどんクヌギが育ってしまったんですよ。樹齢20年を超えたものを使ったら、芽きりがあまりよくなかったんです。温暖化の影響もあるとは思いますが、原木の影響も少なからずあると思っています」と、約50年に渡る経験からほだ木の樹齢を選ぶ理由を教えてくれた。海を望む地区だからこその苦労を問うてみると、「マイナス要因しかないんですよ。日本きのこセンターの人に言わせれば、日本でこの地域ほど難しいところはないんじゃないかと言われたんです」とのこと。関門海峡が近いため、北西の風が常に吹き込むことで椎茸が乾いてしまうのだ。冬にじっくりと育った椎茸が、春場にぱっと開いてしまう。散水など気をつけないといけないことも多いが、その逆境をむしろ楽しんでいるかのようにも思える。「しっかりとしまった椎茸は、干しにしたらこれに敵うもんはない」。知人への手土産にも生の椎茸を持参することも多いそうだが、その喜ぶ笑顔を見るたびに「こりゃあ、作り続けんといかんな」と実感するそうだが、「佃煮のように炊き込んだものを冷凍に常備しているので、おかずがない時はこれでも食べとけって家内に出されるんです」と笑う大成さんが、誰よりも“大成さんちの椎茸”のファンであることは間違いない。