愛媛県森林組合連合会 参与

松本 泰さん

Profile

現場指導を約20年、管理約20年という愛媛県椎茸のエキスパート。生産者と密に接してきた期間が長いからこそ、その想いと情熱は並大抵のものではない。

 いわゆる形の整った「見た目の美しいもの=安心・安全・美味しい」に直結するのだろうか。人間でもそう。絶世の美女と言われる人が皆面白い人間味を持っているかと言われると、一概にそうではないというのは周知の事実。必ずしも容姿と中身はイコールではないというのが、昨今の考え方の主流になりつつある。

 そんな個性的な魅力を持っているのが、愛媛県産原木椎茸の特徴なのだ。海岸線に主な産地を有する愛媛県では、ハウスなどを用いずに自然環境で生産をするからこそ、冬場に半月ほどかけてじっくりと育っていく間に北風などをダイレクトに受けることになる。すると、乾燥させた時点で風の当たったところは締まって縮んでしまうため、ほんの少しいびつな形になってしまうのだ。通常それらは「変形」と選別されてしまうが、実はその形こそが美味しさと安全性の証。均一な形にしたいのならばハウス栽培をすれば良いものを、あえて過酷な自然環境で育てるのは、見た目ではなく美味しさにこだわるから。そのいびつな形こそが愛媛産原木椎茸のプライドなのだ。変形を心配する人に「まぁ食べてみてください」と松本参与は言うという。実際に食した人たちは皆、自然とリピーターになるというから、その美味しさは確かなものだ。そしてその美味しさを守っているのが、40年以上の歴史を誇る愛媛県森林組合連合会による共同選別制度なのである。

消費者に届くまでの仕組みは?
愛媛県森林組合連合会では約50年以上前から、1000回を超える歴史がある系統販売を行っています。また原木乾しいたけは生産者を経て、地域の生産組合、市町村の森林組合、そして愛媛県森林組合連合会という4段階のチェックを経るため、確実な履歴の管理と異物の排除が可能になっています。おそらく他県にはない、しっかりとした仕組みで安心安全に商品を届けることができるのです。
愛媛県産椎茸の味の特徴は?
育てる環境が違ったら、同じ形にはならないのは当たり前のことです。乾燥させた愛媛県産のどんこは見た目には不揃いですが、その香りの良さと美味しさはどこにも負けませんので「形は悪いが味は絶品」と買い手さんには言うてます。水に漬けて冷蔵庫で2日くらいかけて戻し、おでんなどに入れるとその美味しさに“たまげた”と言われることも多いくらい。とにかく食べてみて、というのが口癖です(笑)。
より安全に届けるための取り組みも?
乾しいたけは採ってから乾燥させて出荷するまでに約1年、そして袋詰めしてから賞味期限まで約1年と長期にわたり保存されるものです。その間にどうしても虫がついてしまったりという問題が発生するのですが、それを排除するために大型の冷凍庫を導入予定です。マイナス20度で2週間その冷凍庫に入れる方法が、一番椎茸に優しく風味を損なわないと言われているからです。
生産者との連携はどのように?
地域の生産組合を通じて生産環境を把握するとともに、ほぼ実寸で見ることのできる椎茸のサイズ表などを作成して、最適な収穫時期などを指導します。乾燥場はもちろん、寝るところの天井に貼っておいてなどと言いながら、意識の共有と生産指導をしています。椎茸は山のものだから農協ではなく森林組合が管理をするのも特徴のひとつ。系統だからこそ、動きも早く連携が取りやすいのです。